littlemore BCCKS第一回写真集公募展 受賞者ブック | littlemore

総 評
銀塩写真が持つ「お祝い」&「呪い」の力っていうのも、やっぱスゴイっす。ハイエスト・ハイライトですら何かが宿ってしまう強さ、もしくはうっとうしさ。
つまり、あたりまえだけど、アウトプットがどのような形であれ、一番最初のスキャニング(あるいは撮影ともいう)が重要だな、とも素朴に思いました。そこがいちばん嘘がつけないところですよね。無意識の入り口ね。
なにかすごいはじまりの予感がします。来年も楽しみにしています。
次回応募される方は応募要項よく読んで下さいね。結構大切なこと、書いてあります。
従来、写真集をみるという行為は、手に持った感触、重さ、紙の質感、匂いなんかを感じるあたりから入って行く、体育のような振る舞いだったと思うんですが、BCCKSで写真集をみるのは、なんかいきなりの内視鏡検査みたいな感じがしました。(大きくいえばやっぱり体育なんだけど)
で、まず応募者の編集能力の平均値の高さに驚いた。これはもう後戻りできない感じですね。それゆえに、紙一重なんだけど、「すぐれた写真集」と「すぐれた写真集のプレゼン」との違いがすごく気になったし、やっぱり「編集」ということが動機になっている表現はつまらなくて、「編集不可能な何か」と格闘するところから始まっている表現は素晴らしい、少なくとも誰かが必要とするものになっているなぁ、と思いました。
デジタル写真はスゲぇなというのも、今さらながらに感じました。ハイライトの情報量の無さと一つのイメージに対する人間の滞空時間の短さ。なんか「想いで」の質というものがすごいスピードで変わっているよね。3秒前がもう懐かしいよ!




審査員コメント
カメラの目が澄んでいると思った。
無計算にちがいないと思うが、
一枚一枚、画角、色、光、空気に否応なく惹かれていく。
あたりまえのことだが、この風景の前に作者が立って、カメラで切り取ったわけで、
このように眼前を捉えてしまう感受性に嫉妬をおぼえた。
タイトル、レイアウトも好ましい。ラベルを貼りつけたような
裏表紙のデザインがまた意表をつく。
「だから、何度も言っているんだよ、答えなんてないんだから。」
我々の世界は、まさしくそう思う。
しかし、カメラは、客観だ。
このことばは、作者の意思だ。
審査後、彼にあった。
コトバを話したかったけど、それも、意味はあまりないと、感じたから。
二本のバラがただ、枯れそうなくらい、育っていた事は、このメタファーなのかもしれない。


