美しい丘 ホンマタカシ  |  AOBAART

この場所を初めて訪れたとき、果たしてここに住んでいる人たちは、本当にアートイベントの開催を望んでいるのか、これからアーティストたちがしようとしている“何か”を好意的に受け止めてくれているのか、そんな懐疑的な思いが少なからず頭をよぎった。アーティストたちと街の人たちはコミュニケーションをかさねていった。それは展覧会開催へのプロセスというよりも、ここに生活する人たちとつながるための自然ななりゆき。アーティストたちとこの街の関係のはじまりの一歩だった。そうこうするうち、しだいにアーティストたちの活動は作品とともに家々の庭先や公園、いまは誰も住んでいない空き家や空き地といったこの街の日常の光景のなかへと溶け込んでいった。目の前にあるものがアートとかどうかということよりも、人と会話をするきっかけや街の新たな一面を発見するきっかけ。アーティストたちは、かかわったすべての人たちに、そのきっかけとの出会いの場を提供したのだった。
一度きりなら簡単なことも、継続させていく体力と周囲からの理解。AOBA+ARTは、まだはじまったばかりだ。

何かがはじまった。

text | 兼平彦太郎