古巴肖像  |  breathnoir

 
 
 

1492年コロンブスに発見されたキューバ。その歴史は複雑で様々な困難があった。スペインによる植民地化支配。疫病や過酷な労働による先住民の絶滅。奴隷貿易によりアフリカ各地の黒人が代わりに連れてこられ、砂糖の奴隷制プランテーションが発達。過酷な重労働により多くの黒人が命を落とした。

 19世紀後半の奴隷解放。キューバ生まれのスペイン人入植者による独立戦争。1902年キューバ共和国樹立。「米国の裏庭」と呼ばれたバティスタ政権による独裁政治。カストロ、チェ・ゲバラらによるキューバ革命。アメリカとの関係悪化。ソ連との接近。キューバ危機。経済制裁。ドル所持解禁…

 歴史に翻弄されながらも人々はおおらかに乗り切ってきた。世界でも有数な混血の多い国。あらゆる文化の融合が見られ独特な文化を育ててきた。アフリカや先住民の特色を持つキューバ独特の文化として。

 1993年にはドル所持が解禁され状況が一変した。現在は「特別期間」と呼ばれ自由経済へとゆるやかに移行し始めている。観光立国を目指し街が整備された。旅行者はドルの代わりに兌換ペソを使う。日本円からの両替も比較的楽になった。大都市では警官が24時間常駐し治安が良く、深夜に一人で出歩かない限りそれほど身の危険を感じる事はない。

ゆるやかな資本主義へと移行途中のキューバ。色々問題も多いし不満もあるが、それでも以前よりはマシだと考えてる人が多い。果たしてこの国はこの先どこへ向かうのか。ドルを手に入れられる人々とそうでない人々の間で、所得格差が広がっている。この問題をどう解決するのか。キューバの掲げた理想と現実。そこが分かれ目でもある。だがその陽気さと音楽と情熱によって乗り越えていくのだろう。
                  2008.5.1 坂倉 恒

 

  
 
 
 
 
「火曜日、
 記すべきことなし、存在した」
 (ジャン・ポール・サルトル)

 
 
古巴肖像
  • 著者:sakakura hisashi
  • 企画:an independent photo-gallery "breathnoir"
  • URL:http://breathnoir.velvet.jp/
作 成 日:2009 年 09月 04日
発   行:sakakura hisashi
BSBN 1-01-00027025
ブックフォーマット:#539
 
 
 

(c)sakakura hisashi