TAILS  |  ZYPRESSEN

 
 
 
 
 
 
 
 

「どこへ行くの。」
「ずっと、ずっと、遠くの町まで行くんだ」
「あの犬も一緒じゃだめ。」
「つれてはいかれない」
「ぼく、さびしいよ。」
「おいで、手をしっかりと握っていないといけないよ」
「お父さん、ぼく、しっかり握っているよ。」
「ちいさな町をいくつもこえていくんだ。汽車にのって。舟にのって」
「またここに、かえってくるの。」
「かえってくるさ」
「そのときは、あの犬もいっしょだね。」
「そうだね、一緒に暮らそう」
「ぼくのベッド、半分かしてあげるよ。」

父はやさしくわらって、ぼくのあたまに手をおいた。そしてなにか言おうとしたところで、駅舎のほうから、父の名前を呼ぶ声がした。父は、手を挙げてそれに応えてから、さあ、と言って、ぼくの手を引いた。